5章アナリティクスフレームワーク

ここ数年、さまざまなフレームワークが登場している。それによって、スタートアップのことが理解しやすくなった。成長の変化もわかりやすくなり、市場も発見できるようになった。顧客や収益の獲得について、スタートアップを支援するときにも役に立っている。こうしたフレームワークは、スタートアップのライフサイクルに対するさまざまな考え方を提供し、フォーカスすべき指標や領域を提案するものである。

これらのフレームワークを比較して、ぼくたちは独自のフレームワークを考案した。進捗の計測に使える指標も用意してある。本書では、この新しいフレームワークを使うことにするが、その前に既存のフレームワークを見ていきたい。リーンアナリティクスとの関係もわかるはずだ。

5.1 デイブ・マクルーアの海賊指標

「海賊指標」とは、ベンチャーキャピタリストであるデイブ・マクルーア《Dave McClure》が、成功するビジネスの構築に必要な「5つの要素」の頭文字からその名前をつけたものである。マクルーアは、スタートアップが監視すべき指標をAARRR(獲得・アクティベーション・定着・収益・紹介)に分類している†1

ぼくたちの解釈を加えたものを図5-1に示す。このモデルは、ユーザー・顧客・訪問者が進むべき5つのステップを示している。この順番で会社は価値を引き出すのである。価値は取引(収益)だけでなく、ユーザーたちの市場における役割(紹介)やコンテンツクリエイターとしての役割(定着)からも引き出せる。

5つの要素の順番は厳密でなくても構わない。ユーザーはお金を支払う前に紹介することもある。あるいは、サインアップする前に何度も訪問するかもしれない。いずれにしても、ビジネスの成長を考えるときの優れたフレームワークだ( ...

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