7章ボックス3:ユーザー

Lean UXキャンバスのボックス3:ユーザー

図7-1 Lean UXキャンバスのボックス3:ユーザー

従来、デザイナーはエンドユーザーの視点を重視して仕事をしてきました。これは、Lean UXでも同じです。ビジネスや達成したい成果に関する思い込みを定義するときにも、何よりもユーザーを優先し、ユーザーを中心に考えなければなりません。Lean UXキャンバスのボックス3では、ターゲットユーザーについての深く掘り下げた会話を始めます。

デザイナーはたいてい、「ペルソナはリサーチで得たことを表すためのツールである」と教わっています。その結果、多額の費用を投じたリサーチの結果を示す分厚い資料としてペルソナが表現されることが珍しくありません。しかし、このような方法で作成されたペルソナには、いくつかの問題があります。

まず、多くの労力を投じて作成したために、ペルソナを絶対的なものと見なしてしまいがちです。また、ペルソナは専門のリサーチチームや外部のベンダーによって作成されることが多いため、ペルソナを作成する側とそれを使う側の間に知識のギャップが生じやすくなるというリスクもあります。

Lean UXでは、このペルソナ作成プロセスの手順を変えます。また、ペルソナ作成を一度きりのものにせず、継続的に行うようにします。ユーザーについて何かを学ぶたびに、ペルソナを調整していくのです。

Lean UXのペルソナ作成では、まず前提を明確にすることから始め、次にその前提を検証するためにリサーチを行います。現場で何カ月もかけて大勢の人にインタビューする代わりに、ペルソナの原型である「プロトペルソナ」を数時間程度で作成します。プロトペルソナは、「プロダクトやサービスを使っている(または将来的に使う)のは誰か」「その理由は何か」についての、その時点での最善の推測です。プロトペルソナはチーム全体で、前提となりえる全員の意見を取り入れながら紙に描くという方法で作成します。その後は、継続的にリサーチを行うことで、最初の推測がどれくらい正しかったのかを迅速に判断し、それをペルソナに反映していくことができます。 ...

Get Lean UX 第3版 ―アジャイルなチームによるプロダクト開発 now with the O’Reilly learning platform.

O’Reilly members experience books, live events, courses curated by job role, and more from O’Reilly and nearly 200 top publishers.