10章本番環境における機械学習のトレンド
本書ではこれまで、データサイエンティストが解決すべき課題としてのコンピュータビジョンを取り上げてきました。しかし、機械学習はあくまで現実のビジネス上の課題を解決するためのものです。そのため、実際の機械学習プロジェクトを推進するためには、データサイエンティストは、以下のようなさまざまな人たちと協力する必要があります。
- 機械学習エンジニア
- データサイエンティストが作成したモデルを本番環境にデプロイするのは機械学習エンジニアです。機械学習エンジニアは典型的な機械学習のワークフローのすべてのステップ(データセットの作成から予測のためのデプロイまで)を束ねて機械学習のパイプラインにする作業を行います。このプロセスは、よくMLOpsと呼ばれます。
- エンドユーザー
- モデルを用いて意思決定を行う場合、エンドユーザーは、意思決定がブラックボックスになっているAIに疑問を持ちがちです。これは、エンドユーザーが高度な訓練を受けた専門家であるような、医療分野などでは特に顕著です。彼らは、多くの場合、AIモデルが説明可能であることを求めます。説明可能であることは、責任あるAIの利用のための前提条件であると広く考えられています。
- ドメインエキスパート
- ドメインエキスパート(アプリケーションが対象とする領域の専門家)も、プログラミングを必要としないフレームワークを使ってMLモデルを開発することができます。そのため、ドメインエキスパートがデータの収集、検証、問題の実行可能性の評価などをサポートすることも多いでしょう。こうしたトレンドは機械学習の「民主化」とも呼ばれ、さまざまなノーコードやローコードのツールによってこうしたことが可能になっています。
本章では、このような隣接した役割を担う人々のニーズやスキルが、本番環境におけるMLのワークフローにどのように影響するかを見ていきます。 ...
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