はじめに
本書の想定読者
機械学習の多くの入門書では、機械学習が扱う内容(what)と方法(how)が重点的に扱われます。その上で、人工知能(AI)の研究者が新たに開発した手法の数学的な説明や、手法を実装したAIフレームワークの使い方の解説が取り上げられます。対して本書では、経験豊富な実務家が実問題に機械学習を適用する際のヒントやコツに着目し、その根底にある理由(why)にまつわる貴重な経験則をまとめています。
想定読者は、機械学習やデータ処理の予備知識をすでに持っている方です。本書は機械学習の入門書ではありません。実践的な機械学習を学ぶために入門書の次の本を探しているデータサイエンティストやデータエンジニア、機械学習エンジニアにお勧めします。本書は、基礎知識を持つ読者へ実践上の考え方や概念のカタログを提供します。一部にはすでになじみのあるものもあるかもしれません。本書ではそれぞれの概念に名前を付けて、機械学習の実務家が自信を持って各概念を手に取り扱えるようにしています。
もし計算機科学を専攻している学生が機械学習やデータ分析の業界で職を得たければ、本書で知識を総仕上げして、プロの世界に足を踏み入れる準備をしましょう。本書により、高品質な機械学習システムの構築方法を学べます。
本書が扱わない内容
本書は主に企業の機械学習エンジニアを想定しており、大学や産業界の研究所に勤める機械学習の研究者を想定していません。
本書は、近年研究が活発な領域にあえて踏み込んでいません。例えば、機械学習モデルのアーキテクチャ(双方向エンコーダ、アテンション機構、ショートカットなど)についてほとんど触れていません。読者が画像分類や回帰型ニューラルネットワークを自作するのではなく、ResNet-50やGRUCellといった既存のモデルアーキテクチャを用いることを想定しているためです。 ...
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