15章背景除去

15.1 背景除去の概要

多くのアプリケーション、とりわけ防犯カメラなどでは、その簡単さと、カメラが固定されている場合が多いことから、背景除去(または背景差分)が依然として最も重要な画像処理となっています。K. Toyama、J. Krumm、B. Brumitt、B. Meyersは[Toyama99]でその概要を説明し、多数のテクニックの比較を行っています。背景を除去するためにはまず、背景のモデルを「学習」する必要があります。

学習が済んだら、この背景モデルを現在の画像と比較し、既知となった背景部分を取り除きます。除去の後に残った物体が、前景の物体であると推定されます。

もちろん「背景」といってもあいまいな概念なので、アプリケーションによってその定義は変わります。例えば、高速道路を見張っているなら、平均的な交通の流れはおそらく背景と考えるべきでしょう。通常、背景は、注目する期間にわたって、静止したまま、あるいは周期的に動くシーンの一部分と考えられます。全体として見た場合、時間により変化する要素もあるかもしれません。例えば、昼は動かず立っていても朝夕は風に揺れる木のようなものです。よくあるはっきりと異なる2種類のシーンのよい例が、屋内と屋外のシーンでしょう。このようなシーンのどちらでも使える手法について説明します。

本章では、まず、典型的な背景モデルの弱点を説明した後、より高度なシーンのモデルの説明に移ります。次に、主に照明がそれほど変化しない、屋内の静止した背景シーンに適した簡便な方法を紹介します。その後、それより少し速度は遅いものの屋外と屋内のシーンのどちらでも機能する「コードブック」法へと続きます。これにより、周期的な動き(風に揺れる木など)と、ゆっくりあるいは周期的に変化する照明との両方に対応できます。この方法はまた、まれに前景物体が通り過ぎても、背景の学習を行うことができます。ここでは、検出した前景物体をきれいにするという状況で連結成分(「 ...

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