4章ifによる選択

まわりの人々がみな冷静さを失い、

あなたを非難しても、自分は冷静さを保っていられるなら……

──ラドヤード・キップリング, If──

 今までの章ではさまざまなデータの例を見てきたが、まだデータで大したことはしていない。ほとんどのコード例は、対話型インタプリタを使っており、短かった。しかし、この章では、ただデータを見るだけではなく、データを処理するPythonコードについて学んでいく。

 多くのプログラミング言語は、波括弧({})やbeginendなどのキーワードを使ってコードのセクションを区切る。そのような言語では、首尾一貫したインデントを使って自分にも他人にもプログラムを読みやすくするのがグッドプラクティス(よいこと)とされている。コードをきれいにインデントするツールさえ存在する。

 グイド・ヴァン・ロッサムは、やがてPythonとなる言語を設計していたとき、インデントがあればそれだけでプログラムの構造を十分定義できると考え、丸括弧やら波括弧やらを使わないことにした。Pythonは、空白を使ってプログラムの構造を定義するという点で普通の言語とは大きく異なる。これは、初心者が最初に気づくことの1つで、ほかの言語の経験がある人にとっては奇妙に見えるようだ。しかし、しばらくPythonを書いていると、この方法が自然に感じるようになり、いちいち意識しなくなる。タイピングが減る分、多くの仕事ができるようにさえなる。

 最初のほうのコード例はみな1行だったが、この章ではまずコメントと複数行コマンドの作り方から見ていこう。

4.1 #によるコメント

 コメントは、プログラムの中に含まれるテキストで、Pythonインタプリタからは無視される。コメントは、その付近のPythonコードの意味をはっきりと伝えたり、いつか修正すべき部分を示すメモとして使ったり、その他あらゆる目的に使える。コメントは、 ...

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