10章トレードオペレーションの自動化

世の人々は計算機が賢くなりすぎて世界を支配するようになると心配しているが、計算機はあまりに間抜けにもかかわらず、すでに世界を支配してしまっていることが実際の問題なのである†1

—ペドロ・ドミンゴス

[†1] 訳注:翻訳は『マスターアルゴリズム』(講談社、神嶌敏弘訳)によります。

「次は何をするのだろうか」と思っているかもしれませんが、トレードプラットフォームを使い、ヒストリカルデータやストリームデータを取得することが可能です。そこでは、売買注文をして、アカウントの状態をチェックすることができます。マーケットの値動きの方向を予測して、アルゴリズムによるトレード戦略を導き出す手法は、既に数多く紹介しました。このすべてをまとめて自動化するにはどうすればよいのでしょうか。この質問には、一般的には答えることはできません。しかし、本章では、自動トレードで重要なテーマについて述べます。本章では、運用する自動化したアルゴリズムトレード戦略は1つだけと仮定します。これにより、資産管理やリスク管理などが簡単になります。

この章では、以下のトピックを取り上げています。「10.1 資産管理」では、ケリー基準について説明しています。ケリー基準は、戦略の特性と利用可能な資本に応じて、トレードのサイズを決めるのに役立ちます。アルゴリズムトレード戦略に自信を持つためには、パフォーマンスとリスク特性の両方に関して、徹底的に戦略をバックテストする必要があります。「10.2 機械学習を用いたトレード戦略」では、「1.5 トレード戦略」で紹介した機械学習(ML)の分類アルゴリズムを用いた戦略の例をバックテストします。アルゴリズムトレード戦略に基づく自動トレードを行うには、入力ストリームデータをリアルタイムに処理するオンラインアルゴリズムへの落とし込みが必要となります。 ...

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