はじめに

著名なソフトウェアエンジニアで起業家でもあるマーク・アンドリーセンは、「ソフトウェアが世界を飲み込んでいる」と宣言†1したことで知られる。宣言は2011年のことだが、時が経つにつれてより真実味を帯びてきた。ソフトウェアシステムはますます複雑になり、現代生活のあらゆる場面に浸透した。この貪欲な猛獣の背骨を支えるのがPythonだ。Pythonを気に入るプログラマは多く†2、Webアプリケーション、機械学習、開発者用ツールなどのあらゆる場所でPythonを見かけるだろう。

輝くもの必ずしも金ならず†3。ソフトウェアシステムが複雑になるにつれて、メンタルモデルと現実世界の対応付けが難しくなる。放置すると、ソフトウェアシステムは肥大化し脆くなり、「レガシーコード」という恐ろしい称号を与えられる羽目になる。そのようなコードベースには大抵「このファイルに触れるべからず。理由は不明だが触ると壊れる」や「このコードを理解しているのは誰某のみ。2年前に高給の提示を受けてシリコンバレーに転職」といった警告がついてまわる。ソフトウェア開発は若い分野だが、このような警告は開発者かビジネスパーソンかを問わず人々を恐れさせる。

[†3] 監訳注:ウィリアム・シェイクスピア『ヴェニスの商人』第二幕 第七場。

長持ちするシステムを書くためには、コードのさまざまな箇所で慎重な判断が求められる。タイタス・ウィンターズ、トム・マンシュレック、ハイラム・ライトは「ソフトウェア工学は、時間を超えて統合されたプログラミング」 ...

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