9章GDALを試す

GDAL(Geospatial Data Abstraction Library、https://gdal.org)は、ラスタおよびベクタの地理空間データを効率的に処理するリソースライブラリで、オープンソースのプラットフォームやライブラリについての議論を行う際にはGDALを抜きにして語ることはできません。GDALは、ArcGIS、QGIS、Google Earthなど、本書で紹介した多くのプログラムの内部で動作しています。GUIのプログラム的な容易さに頼っていると、統一されたデータモデルで効率的に作業するために、多様なデータ型や形式を組み合わせる複雑さを忘れてしまいがちです。そのため、GDALは重要なツールなのです。GDALは、さまざまな形式や空間参照系にまたがる地理空間データでの処理を簡易化します。

本章では、ラスタデータを扱いながら、Spyder IDEを使ってGDALを操作する方法を説明します。また、GDALで利用できるデータセットとして、EarthExplorer、Copernicus Open Access Hub、Google Earth Engine(GEE)の3つについても簡単に説明します。

まず、コマンドラインインターフェース(別名ターミナル)を使って、地理空間データを素早く読み、変換し、再投影する方法を紹介します。なぜコマンドラインなのでしょうか? 同じ機能を必要とする複数のファイルを扱う場合、QGISやArcGISで作業しながら、必要な手順やプロセスを思い出しながら1つずつ手作業で確認する必要はありません。コマンドラインを使用すると、簡単なコード行をスクリプトとして保存し、さまざまなファイルやデータセットを処理できます。これらのスクリプトは、「 ...

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