14章人工ニューラルネットワーク

本章では、人工ニューラルネットワーク(以下、ニューラルネット)について説明します。

本章では次の事柄について学びます。

  • ニューラルネット入門
  • パーセプトロンに基づく分類器
  • 単層ニューラルネット
  • 多層ニューラルネット
  • ベクトル量子化
  • RNNを用いた連続データの解析
  • 光学的文字認識(OCR)データベースの文字を可視化
  • OCRエンジンの作り方

14.1 ニューラルネット入門

人工知能の基本的な前提のひとつは、人間の知能を必要とするような仕事を実行する機械を作ることです。ならば、人間の脳をモデル化した機械を作ればよい。ニューラルネットは、人間の脳が学習する過程を模擬して設計されたモデルです。

ニューラルネットは、データの中に内在するパターンを識別して学習するように設計されています。分類、回帰、分割などのさまざまな作業をするのに用いられます。ニューラルネットに入力するためには、あらゆるデータを数値形式に変換する必要があります。例えば、画像データ、テキストデータ、時系列データなど、さまざまな形態のデータがありますが、ニューラルネットが理解できるためには、データを数値形式で表現しなければなりません。

14.1.1 ニューラルネットの構築

人間の学習過程は階層的です。人間の神経回路網にはさまざまな段階があり、各段階は異なる粒度に対応しています。単純なことを学習する段階もあれば複雑なことを学習する段階もあります。物体を視覚的に認識する例を考えてみます。人間が箱を見るとき、最初の段階ではコーナーやエッジのような単純な形状を識別します。次の段階では、汎用の形状を識別します。その次の段階で、物体の種類を識別します。この過程は課題に応じて異なりますが、だいたいどういうことかはおわかりいただけるでしょう。このような階層構造をとることで、人間の脳は素早く概念を分類して、物体を識別するのです。 ...

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