9章 機械学習Machine Learning

この小さなRaspberry Piが、機械学習の実験にぴったりのプラットフォームだと聞いて驚く人もいるかもしれない。この章ではリアルタイムで映像の中の物体を認識したり、音声を認識したり、またそういった機能をPythonプログラムから利用する方法を学ぶ。

コンピューターのプログラミングとは、コンピューターに一連の命令を与え、それを行わせることだ。そのような手続きは、私たちがコンピューターにしてもらいたいことを実現するために作成される。Pythonなどのプログラミング言語によって表現されるこの手続きは、データの保存や計算の実行などは非常にうまくやってのける。しかし、音声による指示に応答したり、写真に写っている物体を特定したりするプログラムを書くのは、とても難しい。人間や一部の動物は、訓練によってそういったことを学び取る。私たちの脳は、経験を通して物事を認識することを少しずつ学んでいく。そのようなことを行うプログラムが、私たちの頭の中で実行されているわけではない。私たちはそうすることを学び取るのだ。

機械学習(ML)は、通常のコンピューターが特別な機械学習プログラム(これ自体は通常のプログラムだ)を実行することによって行われる。そのプログラムが、大量のデータを処理することによって、脳と同じようにデータから物事を学習していく。例えば、音声による指示を認識するようにコンピューターをトレーニングするなら、大量の指示のサンプルだけでなく、それ以外のサンプルや背景雑音も提供し、コンピューターにはそれらを無視することを学習させることになる。

MLには、分類を行うものが多い。これはつまり、ある入力に対してそれが属するカテゴリーを判定することだ。例えば、音声サンプルに関するデータであれば、あらかじめ定義された一連の単語やフレーズがそのサンプルに含まれる確率を算出することになるだろう。あるいは、画像に含まれる物体の分類であれば、ある画像が表現している動物を特定したり、さまざまなものが映っているビデオストリームにその動物が映っているかどうか判断したりするかもしれない。 ...

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