まえがき
筆者がインターネットを利用し始めたころ、書店にはPerl、PHP、CGIといったコーナーができて、それまで主流だったデスクトップアプリケーションの棚をどんどん侵食していきました。そのうちに、JavaやRubyがウェブ開発用の言語として広く使われるようになるにつれ、CGIではない、ウェブアプリケーションサーバー方式が広く使われるようになりました。現在では書店に並ぶコンピューター書籍の半分以上が、何らかの形でウェブとかかわりがある書籍になっています。
本書は、このウェブにかかわりのある技術のうち、変化の大きくない領域である、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)というウェブの転送用のプロトコル[1]にフォーカスして紹介しています。CGIとウェブアプリケーションサーバー、また最近出てきたサーバーレスアーキテクチャなど、ウェブサービスの裏で実装に使われる言語や仕組みは、ここ30年で大きく変わりましたが、実際にウェブブラウザとウェブサーバー(以下、ブラウザとサーバー)の通信にかかわる部分のコンセプトは30年近く、大きく変わってはいません。「コンピューター業界は、日進月歩で新しい技術などが出続けるため、学び続けないといけない」とよく言われます。それは半分正しくて半分間違っています。コンピューターサイエンスの領域にあたる内容、業界標準のプロトコル、テストしやすく見通しの良いコードの書き方、アルゴリズム、データベースなどは、一度学んでおけば無駄になることはありません[2]。その「すぐには無駄にならない知識」を目指した甲斐あってか、筆者が携わってきた書籍の中では一番長く話題にしていただいたり、名前を聞く書籍となり、文字通りの代表作となりました。版を重ねて更新し続けられるのも、読者のみなさんに支持をしていただいた結果です。 ...
Get Real World HTTP 第3版 ―歴史とコードに学ぶインターネットとウェブ技術 now with the O’Reilly learning platform.
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