11章Chess-bot(チェスボット)
ここまで本書では車輪型の移動ロボットをオフィス風の環境で動かすことを中心に説明してきました。これは平面の床の上を動く車輪型の移動ロボットのナビゲーションが比較的に低価格なハードウェアを使って実現することができたからです。また、この内容がROSを使ったロボット制御の実践的な導入として、十分な価値があり、ちょうどよい複雑さだったからです。しかし、ロボット工学で扱うロボットは、平面上を動く車輪型の移動ロボットだけではありません! 本章では、これまでとはまったく異なる分野であるマニピュレーションを扱うことにします。残念ながらロボットマニピュレーターは複雑で高価な機械なので大学や趣味の研究室ではあまり見かけることはありません。しかし、幸いなことに、無償で提供されているオープンソースのGazeboシミュレーターを使えば、ロボットマニピュレーターのソフトウェア開発をすることができます。また、それを強く推奨します! 本章では、Gazeboを使ってNASAとGMによって開発されたすばらしい最先端のロボットRobonaut 2(別名R2)のソフトウェアを開発する方法を説明します。Robonaut 2の複製が1台、国際宇宙ステーションにも実際に送り込まれています。つまり、本章で皆さんがこれから作成するソフトウェアは、皆さんのコンピューター上のGazeboシミュレーターで動作するだけでなく、宇宙ステーションの本物のR2でも同じように動作するはずなのです!
ロボットマニピュレーターには驚くほどたくさんの形状や大きさがあります。産業用のロボットマニピュレーターは、溶接、塗装、積み重ねといった作業を、超人的な力とスピード、そして忍耐力で行うことができます。しかし、重要なことは、見た目がどうであるかにかかわらず、多くの産業用のロボットの装置は「目が見えていない」ということです。つまり、溶接ロボットや塗装ロボットは、一般に ...
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