13章TensorFlowによるデータのロードと前処理
今まではメモリに収まりきるデータセットだけを使ってきたが、深層学習システムはRAMには収まりきらない大規模なデータセットで訓練されることがよくある。大規模なデータセットの効率的なインジェスト、前処理は、ほかの深層学習ライブラリでは容易に実装できないが、TensorFlowはデータAPI(Data API)でこれらを簡単に実行できるようにしている。データセットオブジェクトを作り、どこからデータを入手してどのように変換するかを指示すればよい。マルチスレッド管理、キューイング、バッチへの分割、プリフェッチといった実装の細部はすべてTensorFlowが面倒を見てくれる。しかも、tf.kerasはデータAPIをシームレスに使える。
データAPIは、出荷時の状態で、テキストファイル(CSVファイルなど)、レコードが固定サイズのバイナリファイル、TensorFlowのTFRecord形式(可変サイズレコードをサポートする)のバイナリファイルを読むことができる。TFRecordは柔軟で効率のよいバイナリ形式で、通常はプロトコルバッファ(オープンソースのバイナリフォーマット)を格納する。データAPIは、SQLデータベースからの読み出しもサポートしている。さらに、GoogleのBigQueryサービスを含む多くのタイプのデータソースからデータを読み出すためのオープンソースのエクステンションが多数開発されている。
難しいのは、大規模なデータセットの効率的な読み出しだけではない。そのデータは、さらに前処理(通常は正規化)しなければならない。しかも、データは扱いやすい数値フィールドだけで構成されているとは限らない。テキスト特徴量、カテゴリ特徴量なども含まれている場合がある。これらのデータは、ワンホットエンコーディング、バッグオブワーズエンコーディング、 ...
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