6章同意の獲得
David K. Rensin
SLI、SLO、およびエラーバジェットは、システムにおける信頼性のニーズを論理的に判断するために役立つツールです。これらを議論の題材で終わらせないためには、実装して、業務遂行の指針として活用するように会社(または組織)を説得することが必要です。
エンジニアの立場からすると、SLOを採用するようにリーダーたちを説得するのは、あなたの役割にそぐわないでしょう。そこでこの章の出番です。この章では、皆さんの会社がSLOという指針を業務に生かすための必要な手順を説明します。この情報はすべて、この旅で他の人を助けながら苦労して習得したものです。みなさんが、私がその過程で失敗したのと同じ過ちを犯さないように、細片に至るまでをここにまとめました。また、補足的な内容として、このプロセスに個々のチームを参加させる方法についてを13章で取り上げます。
6.1 エンジニア仕事はコードだけではない
SREの世界では、「監視とログが信頼性を決めるのではありません。信頼性を決めるのはユーザーです」と言われます。技術面からは、自分たちが記述するコードと自分たちが設計するシステムが、ユーザーのサービスにおけるすべてです。もし、誰も使用しないものを自分たちが作成しているのなら、その時間と労力は他の何かに使ったほうがましです。
同様に、信頼性はユーザーの信頼を得るための基礎であり、あらゆるシステムにとって重要な要件であるという主張†1も説得力があります。ユーザーがシステムを信頼できなければ、そのシステムは使用されなくなり、ユーザーはいなくなります。そうなると、それまでに費やされた労力は無駄になります(上記の主張を参照してください)。たとえその新しい試みが注目を集めるものであったとしても、信頼性が低ければ信用されません。 ...
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