1章Sphinxとは
Sphinx(スフィンクス)は、あるルールに従って記述されたテキストファイルを、HTMLやPDFなどの形式に変換するドキュメント変換ツールです。Sphinxはそれぞれの形式に変換する際、目次や相互参照などのナビゲーションを追加し、読みやすくレイアウトも行います。
本章では、Sphinxをどのようなドキュメントに使うのか、Sphinxとはどのようなソフトウェアなのか、その特徴と概要を紹介します。また、Sphinxと比較される他のツールとの違いについても紹介します。
1.1 Sphinxを何に使うのか
Sphinxは、もともとPython 1 の公式ドキュメントを作成するツールとして開発されました。2007年当時、Pythonのドキュメントは組版システムであるLaTeXで書かれていました。LaTeXは高品質なドキュメントの作成には定評があるものの、複雑なマクロを覚える必要があるなどのハードルがあり、ドキュメントを更新したいと言い出すユーザが少なかったようです。そこでGeorg Brandl(ゲオルグ・ブランドル)が、ドキュメントを更新しやすく、より使いやすいツールを目指してSphinxを開発しました。その際、GeorgはSphinxで用いるマークアップ言語としてreStructuredText(以下、reST 2 )を採用しました 3 。reSTはシンプルで読みやすく、拡張性のあるマークアップ言語です。 その後、SphinxはPythonのライブラリやツール用のドキュメントだけでなく、RubyやPHPなど言語を問わず利用されるようになりました。最近では、プログラミングと関係のない分野でも広く利用されています。
Sphinxはひとつのソースから、HTMLだけでなく、PDFやEPUBなど、さまざまな形式のドキュメントを出力できます。そのため、目的に合った形式のドキュメントが得られます ...
Get Sphinxをはじめよう 第3版 now with the O’Reilly learning platform.
O’Reilly members experience books, live events, courses curated by job role, and more from O’Reilly and nearly 200 top publishers.