8章データから学ぶ
この章ではデータの話をする。テック企業がプロダクトを良くしていくためのツールとしてデータを幅広く活用している様子を見ていこう。データの活用といっても、単にデータをどのように収集し、保存しているのかに留まらない。集めたデータを処理することを支援するためにテック企業が用意している新たな役割や、プロダクトを計測することによってプロダクトの意思決定をどう改善できるのかも学んでいく。
データの活用法を学ぶことで、プロダクトの機能についての新たなインサイトが得られる。これはあなた自身やチームのイノベーションに役立てられる。データをうまく活用することで、プロダクト開発で競合他社よりも一歩先んじることができるはずだ。
8.1 どこにでもデータがある
テック企業に入社してまず最初に感じるのは、プロダクト開発においてデータがいかに大きな役割を果たしているのかということだ。あらゆる場面でデータが重視されている。
データは全社の主要メトリクスから始まる。たとえば、Spotifyのような音楽ストリーミングサービスであれば、月間アクティブユーザー(MAU:Monthly Active Users)、日々の登録者数、有料プレミアムユーザー数を追う。全社ミーティングでは毎回、これらの数字をめぐって議論が交わされる。トレンドはどうなっているのか。その理由はなぜなのか。
そこから大きなカンパニーベットが生まれる。事業に大きな変化を起こせそうな「大きな岩」がカンパニーベットだ。たとえばそのパートナーシップを提携することで、どれだけ新規登録者数を獲得できるのか? 日本向けのサービスローンチは良い数字をあげているのか? 大きな岩をどかしたところには、願わくば、でかい数字があってほしい。 ...
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