9章まとめ
本書では、SQLがさまざまなデータ分析タスクにとって柔軟で強力な言語であることを説明してきました。データプロファイリングから時系列、テキスト分析、異常検知まで、SQLは多くの一般的な要件に対応できます。また、どのようなSQL文でもテクニックや関数を組み合わせて実験分析を行ったり、複雑なデータセットを構築したりすることもできます。SQLはすべての分析目標を達成できるわけではありませんが、分析ツールのエコシステムにうまく適合します。
この最終章では、さらにいくつかの種類の分析について説明し、本書で取り上げたさまざまなSQLテクニックを組み合わせてその分析を実現する方法を示します。そして、最後にデータ分析を習得し続けるためや、特定のトピックをさらに深く掘り下げるために利用できる参考資料を紹介します。
9.1 ファネル分析
ファネル(funnel)は、定められた目標に到達するために完了しなければならない一連の手順で構成されます。目標は、サービスへの登録、購入の完了、コース修了証の取得などです。例えば、Webサイト購入ファネルの手順は、「カートへ追加」ボタンのクリック、配送情報の入力、クレジットカードの入力、最後に「注文」ボタンのクリックになるでしょう。
ファネル分析は、「3章 時系列解析」で説明した時系列解析と「4章 コホート分析」で説明したコホート分析の要素を兼ね備えています。ファネル分析のデータは事象の時系列から得られますが、ファネル分析での事象は同じ事象の繰り返しではなく、現実世界の個別の行動に対応します。手順間でのリテンションの測定がファネル分析の主な目的ですが、この状況ではよくコンバージョンという用語を使います。一般的に、エンティティはプロセスの途中で脱落し、各段階でのエンティティ数のグラフが漏斗(funnel)のように見えることからこの名前が付きました。 ...
Get SQLではじめるデータ分析 ―クエリで行う前処理、時系列解析、コホート分析、テキスト分析、異常検知 now with the O’Reilly learning platform.
O’Reilly members experience books, live events, courses curated by job role, and more from O’Reilly and nearly 200 top publishers.