25章スクリプタブルロードバランサー
Emil Stolarsky(DigitalOcean、元Shopify)
スケーラビリティの問題が発生したとき、Webサービス全体に立ち戻ってアーキテクチャの再構築やリファクタリングを行う時間はありません。担当するサービスが過負荷の結果としてダウンするのは避けられないでしょう。場合によっては、データベースに対する不適切なクエリが原因のため簡単に修復できるという奇跡に一縷の望みを託せることがあるかもしれません。あるいは、単にスタッフの数を増やすことで対応できるかもしれません。しかし、問題を解決するための時間、資金、人員が手元で利用できない場合には、どうすればよいでしょうか。幸い、スケーラビリティにアプローチする方法やSREとしての役割を一変させうると業界の片隅で評価が高まりつつある、新たな領域のツールがあります。それがスクリプタブルロードバランサーです。
スクリプタブルロードバランサーとは、Luaなどのスクリプト言語を通じてリクエスト/レスポンス処理フローを変更できるプロキシです。これはインフラストラクチャチームにとって、アプリケーションのシャード分割、DDoS(Distributed Denial of Service=分散型サービス拒否)攻撃への対策、高負荷の処理などの領域で新たな手法の可能性を開きます。これにより小さなチームでも、難しいか一見不可能な問題を斬新かつエレガントな方法で解決できるようになります。ハイパフォーマンスなカスタムロジックをロードバランシング層に追加できる機能は目新しいものではありませんが、それを組織の規模に関係なく実現できる方法論は今までありませんでした。これこそスクリプタブルロードバランサーがゲームチェンジャーたる所以なのです。 ...
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