1章はじめに

SVGは「Scalable Vector Graphics」(スケーラブル・ベクター・グラフィックス)の略であり、XMLのアプリケーション(XMLを応用したもの)の1つです。SVGを使うと、グラフィック情報を、コンパクトで移植可能な形式で表現することができます。SVGに対する関心は急速に広まりつつあります。最新のWebブラウザーのほとんどはSVGグラフィックスを表示することができ、ほとんどのベクター描画プログラム(ベクタードローソフト)はSVGグラフィックスをエクスポートすることができます。この章では、まずコンピューターグラフィックスの2つの主要なシステムについて説明し、その後でSVGがグラフィックスの世界のどこに当てはまるかを説明します。章の最後に簡単な例を示します。この例は、この後の章で詳しく説明する概念の多くを含んだものです。

1.1 グラフィックスシステム

コンピューター上でグラフィック情報を表現するためのシステムとして、主にラスターグラフィックスとベクターグラフィックスの2つがあります。

1.1.1 ラスターグラフィックス

ラスターグラフィックス(raster graphics)システムでは、1つの画像は、画像の要素——ピクセル(pixel)と呼ばれます——の矩形の配列として表現されます(図1-1を参照)。それぞれのピクセルの色は、RGBカラー値によって直接指定されるか、あるいは色のリストに対するインデックスとして間接的に指定されます。この一連のピクセル——ビットマップ(bitmap)と呼ばれます——は、多くの場合、圧縮されたフォーマットで保存されます。現代のディスプレイのほとんどはラスターデバイスなので、ビューアープログラムが画像を表示するためには、圧縮されたビットマップを復元し、それを画面に送るだけで済みます。 ...

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