9章360度全方位の活用

天球を支えるアトラス像。紀元前150年頃の大理石像(出典:<a href="http://ancientrome.ru/art/artworken/img.htm?id=4657" class="link">http://ancientrome.ru/art/artworken/img.htm?id=4657</a>より)

図9-1 天球を支えるアトラス像。紀元前150年頃の大理石像(出典:http://ancientrome.ru/art/artworken/img.htm?id=4657より)

360度画像と360度動画は、誰もが体験できる新たなバーチャルリアリティの活用法です。誰でも作成し、公開することができます。撮影されたパノラマ画像を見るだけなら、完全な3Dシーンをレンダリングするよりもコンピューターの負担を軽くできます。さらに360度パノラマ画像はスマートフォン向けのVRデバイスでも見ることができます。この章では、次のトピックを詳しく紹介します。

  • 球体、パノラマ画像、映像などを使った360度のVR体験を構築する
  • 360度全方位のメディアがどのようなものかを理解する
  • Unityプロジェクトに360度映像を加える
  • 視野角(FOV)を理解し、360度映像がなぜ魅力的なのかを知る

この章の内容は独立しており、本書の他の章とは違い、必須の内容ではありません。そのため、読み飛ばしてしまってもかまいません。

9.1 360度映像メディア

「360度」と「バーチャルリアリティ」という単語は最近取り沙汰されることが多く、同じ文中で論じられることもよくあります。ユーザーはそれらがまったく同じもので、すぐに理解でき、とても簡単に作り出せると考えるかもしれません。しかし、実際にはそんなに単純なものではありません。

一般的には「360度」という単語で表現される映像は、あらかじめ記録された写真や動画を、視野のすぐ外側にあるコンテンツとして認識し、視線の方向を左右に回転させるようにして見ることを指しています。 ...

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