2章ソフトウェアアーキテクチャにおける結合の見分け方

11月3日(水)13時00分

ローガン(Penultimate Electronics社のリードアーキテクト)は、食堂で分散アーキテクチャについて議論していたアーキテクトのグループに声をかけた。「オースティン、またギプスをつけているんですか?」

「いえ、ただの添え木ですよ」オースティンは答えた。「週末にディスクゴルフ†1をしていて、その時に手首を捻挫してしまったんです。もう殆ど治ってはいるんですが」

[†1] 訳注:ゴルフボールの代わりにフライングディスクを使用して、バスケット型の専用ゴールに、何投で投げ入れることができるかを競うスポーツ。

「わあ……お大事にしてください。ところで、何の話で盛り上がっていたんですか?」

「マイクロサービスでトランザクションをつなぎ合わせる際に、必ずしもサーガパターンを選ばないのはなぜか、ということを話していました」オースティンは答えた。「サーガパターンを使えば、好きなだけサービスを小さくできるのに」

オーケストレーションベースのサーガを使うべきなんじゃないんですか?」アディソンが言う。「非同期通信が必要なときはどうします? あと、トランザクションがどれくらい複雑になるかも気になります。分解しすぎると、データ整合性を担保できなくなりませんか?」

「ですよね」オースティンが言う。「だから、エンタープライズサービスバス(Enterprise Service Bus:ESB)を使えばいいんですよ。そういったことを全部任せられるんですから」 ...

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