オブザーバビリティ・エンジニアリング

1章オブザーバビリティとは？

ソフトウェア開発業界において、オブザーバビリティというテーマは多くの関心を集め、注目の話題として頻繁に見かけるようになりました。 しかし、新しいトピックが注目を集めて採用が急増しているときには、深い見識がないと、単純なトピックのラベルでカプセル化された多くの細部を理解するのが難しくなりがちです。 本章では、「オブザーバビリティ」という用語の数学的起源を調べ、ソフトウェア開発の実務家がこの用語をどのように適用して、本番環境のソフトウェアシステムの特徴を表現したかを検証していきます。

また、なぜオブザーバビリティを本番環境のソフトウェアシステムに適用する必要があるのか、その理由についても考察します。 ソフトウェアアプリケーションの内部状態をデバッグするための従来の手法は、今日私たちが一般的に管理しているシステムよりもはるかに単純なレガシーシステム向けに設計されました。 システムアーキテクチャ、インフラストラクチャプラットフォーム、およびユーザーの期待が進化し続けていますが、 これらのコンポーネントについて判断するためのツールは進化していません。 現在では管理対象のシステムが限りなく複雑化したにもかかわらず、今も多くのエンジニアリングチームが、数十年前に開発された初期のモニタリングツールによるデバッグ手法を使っています。 深く隠されてつかみどころがない問題を迅速に発見したい場面に、従来のツールやデバッグ手法ではどう考えても対処できなくなったため、必要性に迫られてオブザーバビリティツールが誕生しました。

本章では、「オブザーバビリティ」の意味、ソフトウェアシステムがオブザーバビリティを備えているかどうかを判断する方法、オブザーバビリティが必要な理由、 ...