10章オニオンルーティング
本章では、ライトニングネットワークのオニオンルーティングメカニズムについて説明します。オニオンルーティングが考案されたのは、ライトニングネットワークよりも25年も前のことです。オニオンルーティングはアメリカ海軍の研究者によって通信セキュリティプロトコルとして開発されたもので、Torで使われていることでもよく知られています。Torはオニオンルーティングベースのインターネットオーバーレイであり、研究者でも、活動家でも、諜報員でも、誰でもインターネットを匿名で利用することができます。
本章では、ライトニングプロトコルアーキテクチャの「ソースベースのオニオンルーティング(SPHINX)」部分に焦点を合わせます。図10-1では、中央(ルーティング層)の枠で囲まれた部分に当たります。
オニオンルーティングは暗号化通信の手法です。この手法では、メッセージの送信者が入れ子になった暗号化の層を作成します。最も内側の層が目的の受信者に届くまで、これらの層が各中間ノードによって「1枚ずつ剥がされて」いきます。「オニオンルーティング」という名前からも、暗号化の層を玉ねぎの皮のように1枚ずつ剥がして使うことがわかります。
各中間ノードにできるのは、層を1つ剥がして通信パスの次のノードを調べることだけです。オニオンルーティングでは、受信者または通信パスの長さを知っているのは送信者だけです。
ライトニングネットワークが使っているオニオンルーティングプロトコルの実装は、George ...
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