4章Windowsでのユーザの挙動の解析
フォレンジック調査では、何が起こったのかを把握するために、ユーザの挙動(User Activity)の解析が重要となる場合が多々あります。本書の冒頭では、解析対象の端末が事件の被害者のものであるか、それとも容疑者のものであるかという話題に触れました。解析対象の端末が被害者のものである場合は、端末がどのようにしてマルウェアに感染したのか、そして攻撃者が被害者の端末を遠隔からどう操作したのかが、ユーザの挙動の解析により分かります。一方で、解析対象の端末が容疑者のものである場合は、どのように攻撃の準備をしたのか、どのような攻撃を実行したのか、違法な挙動に関する証拠が存在するのかなどを中心に調査します。犯罪捜査の場合は単にサイバー関連だけではなく、児童ポルノ関連や違法ドラッグ売買のような場合もあります。その場合は、内密のやりとりやブラウザの履歴、怪しいデータを隠した暗号化コンテナとその暗号鍵の存在などを調査します。
この章では、調査対象の端末の利用者の挙動を解析する技術を紹介します。調査対象の端末で起動されていたプロセス情報のみではなく、メモリに読み込まれたWindowsレジストリやファイルシステムの解析も調査に求められます。
この章の内容:
- 実行されたアプリケーションの解析
- 閲覧された文書ファイルの探索
- Webブラウザの履歴の調査
- コミュニケーションアプリケーションの調査
- パスワードの復元
- 暗号コンテナの解析
- レジストリの調査
4.1 前提知識と準備
続く3つの章で紹介するツールを使ってWindowsでのメモリフォレンジックを実施するために、特にこれといった前提知識は必要ありません。Windows OSがインストールされた実機または仮想マシンがあれば問題ありません。 ...
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