8章Linuxでのユーザの挙動解析

 フォレンジック調査や事故対応では、被害者と攻撃者の両方のシステムから重要なデータを収集するために、ユーザの挙動の再構築が不可欠です。Linuxシステムは、攻撃者が活動するためのシステムとしても利用頻度が高いため、被害者のみならず攻撃者にとっても重要な役割を担っています。これは、多くの異なるネットワークスキャナや脆弱性スキャナ、Webアプリケーションの調査ツール、ポストエクスプロイトフレームワークの多くが、Linux向けに実装されているためです。よって、攻撃者が使用したシステムの調査により、攻撃に使用されたツールや手法に関する詳細な情報が得られます。さらに、ユーザの挙動の調査により、攻撃の準備段階、可能性のある関連会社、様々なフォーラムでの活動などに関する情報も得られます。

 この章の内容:

  • 実行されたプログラムの調査
  • Bashの履歴の解析
  • 操作されたファイルの調査
  • ファイルシステムの復元
  • ブラウザの履歴の調査
  • コミュニケーションアプリケーションの調査
  • マウントされたデバイスの調査
  • 暗号コンテナの調査

8.1 技術要件

 今回は、LinuxとWindowsの両方のシステムを使ってLinuxのメモリフォレンジックを実施します。本書ではVolatility 2.6.1とLinuxのビルトインツールはUbuntu 21.04(Hirsute Hippo)で実行し、Bulk ExtractorPhotoRecなどのツールはWindowsで実行しています。

8.2 実行されたプログラムの調査

 Linuxシステム用のプロファイルの作成手順は前章で解説したので、プロファイルの作成が完了した前提で話を進めます。

 作成したプロファイルをprofiles ...

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