11章

ディザスタリカバリの方法

 優れたバックアップとリカバリシステムを持つことは重要であり、そのことには誰も異論がないだろう。しかし長年にわたり、ほとんどの企業の典型的なディザスタリカバリ(DR)プランの中身は、オフサイトの保管庫ベンダのテープの箱だった。この章で説明するように、そんなものがプラン(計画)であるわけはないが、IT業界では、こういうものをDRプランであると認めることがだんだん許されなくなってきた。最近では企業の業務を極めて迅速に復旧させる堅実なDRプランが、一層重要になってきている。この章では、その理由を取り上げる。では、一緒にそれを見てみよう。

11.1 ディザスタリカバリが最優先になった

 DRは、ほとんどの企業にとって決してオプションではなかった。DRは常に必須要件だった。しかし、多くの場所でこのことが知られていない。一般的にデータ保護は、誰も最初に話す話題ではない。バックアップシステムが時代遅れで、ITの他の分野に比べて劣勢であることを誰もが知っていると同時に、バックアップシステムを改善すれば競争が優位になることなどめったにないことも知っている。データ保護プロジェクトは、予算管理表の下の方へ下の方へと追いやられ、最終的には表から消えてしまうことが多い。

 データ保護が予算管理表の最後の章だとすると、多くの場合、ディザスタリカバリはデータ保護の章の一番下の項目になっている。DRはこれまで常にこうだった。確かに、バックアップを取る必要があることはわかっていたし、その一部をオフサイトに保管する必要があることもわかっていた。しかしいざとなると、DRプランは誰かのトランクにあるテープの箱となり、今年は保管ベンダ、アイアンマウンテンを使う予算さえも出なくなってしまった。 ...

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