データ保護完全ガイド ―あらゆるデータの保全と回復を可能にする

はじめに

　これは、私が10年以上前から書きたかった本だ。データ保護業界は複雑であり、私はここまで広範囲にそれを網羅した本を他に知らない。バックアップ、アーカイブ、リストア、リトリーブ、それを行う上で使用するかもしれない全ての手法、ソフトウェア、サービス、さらにバックアップとアーカイブを保存するのに使用するだろうハードウェア、これらにとって必要な全てを網羅するよう私は、懸命に努力した。

　網羅する範囲が広いということは、一つひとつのテーマについてそれほど深掘りできない、ということだ。各章について1冊ずつ本を書いた方が簡単だったかもしれない。実際、オライリー社のスタッフが私の素案を見たとき、彼らが真っ先に言ったのは、この本は2,000ページくらいになりそうだ！　だった。

　そうだとしても、この本で取り上げているテーマはここ以外のどこにもないことは保証する。また、ここではこの業界に出てくるたくさんの議論に決着をつけている。例えば、テープがあるべき場所、バックアップとアーカイブの違い、Microsoft 365やSalesforceのようなSaaS製品をバックアップすべきか否か、等々。この本は、あなたが自分で決定を下すために使える重要な基本概念を取り上げている。1つの典型的な例は、何かが適切に保護されているか否かを判断するために、3-2-1ルールがどのように使われるか、という説明だ（このルールを聞いたことがない、という人でも安心してもらいたい。この本を読み終えるまでには、詳しくなるから）。

　またこの本は、様々なバックアップ手法と技術の全てを、それぞれの良い点と悪い点も含めて理解できるようになっている。どんな技術でも長所と短所があるので、ここではできる限り公平になるよう懸命に努力した。それぞれの技術を理解することが、貴社の環境にとっての最適解を決定する際役に立つだろう。 ...