まえがき
「むかしむかし、あるところに…」
私は、いつもストーリーが語られる家庭で育ちました。私の父、Ingvarは作家で、読書と執筆は私の子供時代に大きな役割を果たしました。ソファで父の隣に座り、反対側に兄弟の1人が座っていたのを覚えています。父はムーミンやナルニア国物語、グリム童話、アンデルセン、アストリッド・リンドグレーン†1を読んでくれ、私たちはすっかり夢中になって座っていました。
[†1] [訳注]『長くつ下のピッピ』などで知られるスウェーデンの作家。
彼が読んでくれたストーリーは、私たちを知らない場所への旅に送り出してくれました。私たちの心に世界を創り出し、見たこともないものを見せてくれて、想像力を刺激しました。夢から覚めないように、私たちは読書会をやめようとは思いませんでした。この先どうなるのか、どう始まり、どう終わるのかを知りたかったのです。毎晩、私たちは一歩ずつ近づいていき、最後のページがめくられ、新しい章、時には新しい本が始まります。
白雪姫、ルンペルシュティルツヒェン†2、ヘンゼルとグレーテルなど、私たちの子供時代の古典的な童話の多くは、世界で最も広く知られている文の1つである「むかしむかし、あるところに…(Once upon a time...)」から始まります。オックスフォード英語辞典によると、このフレーズは少なくとも1380年以降、通常は童話や民話の形式で過去の出来事を物語り始めるために使用されてきました。1600年代には、口伝で物語を始める際によく使われるようになり、「…いつまでも幸せに暮らしました(...and they all lived happily ever after)」で終わることが多くなりました。
[†2] [訳注]グリム童話に収録されている作品の1つ。 ...
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