第6章プロダクトデザインにおけるキャラクター開発の活用

ペルソナの使用に対する消極性

UXデザイナーとして長年仕事をしていると、ユーザーペルソナの作成、特に詳細なペルソナの作成に消極的な傾向があることを目の当たりにしてきました。この消極的な姿勢は、私が働いたチームや会社、指導やコーチングを行った人々、記事やソーシャルメディアの投稿で見られました。この本を読む多くの方々も、ペルソナに対して懐疑的であることでしょう。この懐疑心は、プロジェクトでのペルソナの使用方法、あるいは使用されないことに起因する部分もありますが、チームが自分たちの対象者を知っているという一般的な信念からも生じています。そのため、それを明確にする必要はないとされています。実際のソリューションや創造的なアイデアのように、もっと重要で取り組むべきことがあると考えられています。

そう考えるのも理解できますので、私はこれを中立の立場で書いています。彼らにとってペルソナに時間を費やす必要性が、あらゆることを考慮しても、「実際に仕事をすること」よりも低く、明白に感じることがあります。しかし、「実際に仕事をすること」はその仕事が誰のために行われ、なぜ行われるかを理解することにかかっているのです。フリーランスのUXリサーチャーであるMeg Dickey-Kurdziolekは、「ユーザー中心のデザイナーとは、ユーザーの動機の背後にあるストーリー、データ、根拠を意図的に探求することを意味する」と書いています†1。多くの組織は、ユーザーや顧客についてよく理解していると思っていますが、実際には彼らが誰であるかについてもっと詳細な調査を行い、ステレオタイプを超えると、通常、大きな驚きが待っています。思い込みはしばしば間違った方向に導くか、データを調べなければ、対象者の重要な部分が見落とされるかも知れません。例えば、ある大手デパートでは、データを調べて初めて、女性が最も多くの売上を占めているにもかかわらず、実際には男性が最も価値を生み出していたことに気づきました ...

Get プロダクトデザインのためのストーリーテリング ―「物語」で魅了するユーザーエクスペリエンスを生み出す now with the O’Reilly learning platform.

O’Reilly members experience books, live events, courses curated by job role, and more from O’Reilly and nearly 200 top publishers.