第8章プロダクトデザインのためのストーリーボード

全てを把握する1つのドキュメント

ここ数年、UXに関するコーチングや指導を行う中で、私が最も強く推奨しているUXツールの1つがエクスペリエンスマップです。カスタマーエクスペリエンスマップとも呼ばれ、ユーザーがゴールを達成するために経験するエンドツーエンドの完全な体験を視覚化し、記録します。

エクスペリエンスマップの利点は、その作業過程と完成した結果によってエンドツーエンドの完全な体験を理解し、作業中のページやビューを越えて考えるようになることです。また、エクスペリエンスマップは、画面上で起こることだけではありません。オフラインの側面もカバーし、うまくいけば、全てが複雑にリンクし、一方の変更が他方の何かにどのような影響を与えるかを示すことができます。私たちがデザインするプロダクトやサービスが、いつでもどこでもどんなデバイスでも使えるものであればあるほど、ユーザーのジャーニーの特定のポイントに入り込み、その場で何が重要かを理解することが必要になるのです。この点でも、エクスペリエンスマップは非常に優れています。

最も有名なエクスペリエンスマップはRail Europe Experience Mapで、Rail Europe, Inc.の総合診断評価の一部として開発されました[図8-1]。同社は、設計・開発リソースと予算をどこに集中させるかを明確にするために、あらゆるタッチポイントにおける顧客のジャーニーをより深く理解することを望んでいました。Rail Europeのエクスペリエンスマップは、著者でありデザイナーでもあるChris Risdon氏の言葉を借りれば、「時間と空間を超えたRail Europeのタッチポイントと顧客のインタラクションについて、共通の共感的理解を生み出す」ことに貢献しました。 ...

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