第13章シーン構造をワイヤーフレーム、デザイン、プロトタイプに適用する

フォールドの上に収まりきらないもの

Dareに入社した最初の数年間、私たちはクライアントとコンテンツを「フォールド(折り返し)の上に配置する」ことについてよく話し合いました。このフレーズは元々新聞のページの上半分を指すために使われていましたが、現在ではウェブページの中でスクロールせずに見える部分で、最も重要なコンテンツを含む部分を指します。私たちの全てのワイヤーフレームには、フォールドの位置を示す素敵な点線が描かれており、これは私たち自身の助けになるだけでなく、クライアントからの質問に先んじて答えるためのものでした。これはうまく機能していたものの、通常はクライアントからさらに多くをフォールドの上に収める方法についての質問が出ました。このような話し合いはDareだけでなく多くの記事やブログでも行われました。私は当時、UXのミートアップやカンファレンスには参加していませんでしたが、そこでも議論が交わされたことでしょう。

ある時期、ウェブサイトはフォールドをつけないデザインにするのがトレンドでした。ブラウザの画面ぎりぎりまで下を伸ばし、全てのコンテンツが画面の見える範囲に収まるようにするのです。そのようなプロジェクトでは、フォールドについて議論することはありませんでした。その代わりに、右と左のナビゲーションや、キャンバス型の大きなウェブサイト、つまり上下左右にページを移動させるような平面的なウェブサイトについて議論していました。しかし、徐々に、ユーザーが実際にスクロールすることを示唆する研究が増え、フォールドを考慮する必要はあるものの、全てのコンテンツをフォールド上に収める必要はないことがわかってきました。

2007年にiPhoneが登場し、2010年にはiPadが発売され、フォールド上に収めることができるコンテンツ量が減少しました。また、ユーザーがページ下部までスクロールすることが少なかったのに対し、中央部分をざっと見てからページ下部に時間を費やすようになってきました。この変化は、複数の要因が絡み合って起こったものでした。親指で簡単に下までスワイプできる操作性の向上や、スペースが少なくなったためにモバイルビューの下部にナビゲーションリンクを配置するようになったことなどが挙げられます。そしてまた、デスクトップやモバイルデバイスの両方で、ページ下部に「このような記事も見てみよう」というスタイルのコンテンツがより一般的になってきました。 ...

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