2章チェックリスト

プログラマーからソフトウェアエンジニアになるにはどうしたらよいでしょうか? 本書が結論を出せるとは思っていませんが、正しい道筋に導く助けになればよいと思っています。

ソフトウェア開発の歴史はまだ黎明期にあり、わかっていないことだらけです。でも、すべてがわかるまで待っているわけにもいきません。私たちは実験から学びます。本書で説明する活動や方法論は、多くの偉大な先人にインスパイアされたものです†1。説明するプラクティスは、自分と自分が教えた多くの人に役立ったものです。あなたにも役立つことを願っています。使っているうちに、あなたがもっと良い仕事のやり方を思いつくかもしれません。

[†1] すべてを挙げるには数が多すぎますが、なるべく参考文献に含めたつもりです。でも間違いなく漏れはあります。ご了承ください。

2.1 記憶の補助

ソフトウェア開発の根本的な問題は、多くのことが同時進行しすぎていることです。私たちの脳は、同時に多くのことを扱うのが得意ではありません。

現時点で重要に思えないものは飛ばしてしまうという傾向もあります。

やり方を知らないのが問題なのではなく、やるべきだとわかっていても忘れてしまうのが問題なのです。

この問題を抱えているのはプログラマーだけではありません。パイロットも同じ問題に苦しみ、問題のシンプルな解決方法を編み出しました。チェックリストです。

制約が多くてつまらないやり方に聞こえることはわかっています。でも、チェックリストの起源を考えてみましょう。アトゥール・ガワンデ[40]によると、チェックリストはB-17爆撃機のために1935年に使われたのが起源です。B-17は、それまでの機体に比べてはるかに複雑でした。想定顧客である陸軍向けのデモフライトで墜落し、パイロットを含む2名のクルーが死亡しました。 ...

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