2章TCPの構成要素
インターネットの心臓部には、IPとTCPという2つのプロトコルが存在します。IP(Internet Protocol)はホスト間のルーティングとアドレッシングを提供し、TCP(Transmission Control Protocol)は信頼性の低い通信路上で信頼性の高い通信の抽象を提供します。TCP/IPは「インターネットプロトコルスイート」と呼ばれることもあり、Vint CerfとBob Kahnによって1974年に発表された論文『A Protocol for Packet Network Intercommunication』において初めて提唱されました。
この最初の提案書(RFC 675)は数回の改訂を経ることになりました。そして、TCP/IPの第4版標準は2つの異なるRFCに分割され、1981年に発表されました。
- RFC 791 — Internet Protocol
- RFC 793 — Transmission Control Protocol
これ以降、TCPに対して多くの改善が提案され組み込まれましたが、そのコア部分は当時から大きく変化していません。TCPは直ちに従来のプロトコルに取って代わり、今ではWWW、eメール、ファイル転送など、広く利用されている多くのアプリケーションのプロトコルに選ばれています。
TCPは、欠損パケットの再送、順序通りの転送、輻輳制御と回避、データ完全性など、ネットワーク通信の複雑さの大部分をアプリケーションから隠蔽することにより、信頼性の低い通信路上における信頼性の高い通信の効果的な抽象を提供します。TCPストリームを扱う際、送信されるバイト列が相手側で受信されるバイト列と完全に同一であることや、このバイト列が順序通りにクライアントに届くことが保証されています。このように、TCPはタイムリーな転送よりも正確な転送のために最適化されています。しかしこの事実は、本書でも後に明らかになるように、ブラウザにおけるパフォーマンス最適化を困難にします。 ...
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