16章次世代のデータサイエンティスト、データに対する過信と倫理
最後に、今まさに起きていること、そして読者のみなさんに対して筆者らが望む理想像について考察し、この本を終わりにしたいと思います。
16.1 今まさに起きていること
この本の主な目的は、データサイエンティストとはどのような人物であるかを理解すること、そしてデータサイエンティストが行っている手法について学ぶことでした。
これらの目的は両方とも達成できたのではないかと思っています。
1つ目の目的に対する取り組みとして、ここまでの章において、何人ものデータサイエンティストの方々に、データサイエンティストとはどういうことか、についてそれぞれ直接説明してもらいました。2つ目の目的に対する取り組みとして、(この本で取り上げたかったことのすべてではありませんが)幅広いテーマを取り上げることができたと確信しています。
もちろん、筆者らよりもうまくこの目的を達成できる人もいるでしょう。そのため、次の補足では考察するための題材を提供します。
思考実験:データサイエンスを教えるということ
あなたならデータサイエンスの教科書のコンテンツをどんな風に設計するでしょうか。
データサイエンスは体系的な知識としてしっかりと定義されているわけではありませんし、規範となる資料があるわけでもありません。この事実は、出版やメディアを通じてよく知られていますが、これが誤りである、または見当違いの説明であると断定する権威は存在しません。データサイエンスの知識は、他のさまざまなテーマと重複する部分が数多くあります。例えば、機械学習の教科書などが該当します。
では、データサイエンスの教科書としてよく書けていること、そしてその影響力をどのように見極めればよいでしょうか。また逆に、失敗するとはどういうことでしょうか。 ...
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