8章リーンエンジニアリングプラクティスを導入する
品質を達成するために大量の検査に頼ることをやめましょう。プロセスを改善して、最初から製品に品質を作り込むのです。
W・エドワーズ・デミング
イノベーションの能力は、本当のユーザーでアイデアを頻繁にテストできるかによって決まります。フィードバックにもとづいて、製品やプロトタイプを学習・更新し、再びテストする速度を上げることが、強力な競争優位になります。これが、本章で説明するリーンエンジニアリングプラクティスの価値提案です。オリジナルのMacintoshを開発したエンジニアのひとりであるアンディ・ハーツフェルドは、このように語っています†1。
新しいソフトウェアのアイデアを主張するのではなく、実際に試すようにしていました。簡単なプロトタイプを作り、一番うまくいったアイデアを残し、それ以外を捨てたのです。その時点で最高だと思える実際に動くものが、常に手元にありました。
多くの組織では、数日間から数週間かけて、統合本番環境にソフトウェアをデプロイしています。ところが、ソフトウェアを必要悪でなく競争優位として扱っている組織は、このリードタイムの短縮にかなり投資しています。これを大規模にやると、どうなるでしょうか。2011年5月、Amazonは本番システムへのデプロイの平均間隔11.6秒、1時間あたりの最高デプロイ回数1,079回を達成しました。これは同社のプラットフォームを構成する何千ものサービスの総計です。デプロイのなかには、10,000を超えるホストに影響を及ぼすものもありました†2。もちろんAmazonは、SOX法やPCIデータセキュリティスタンダードといった規制を守っています。 ...
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