14章ITを競争優位にする

コストセンターのパターンとは、多くの従業員が組織のために生み出した価値を定義・モデル化・評価できないことの空白を埋めるものである。

ケン・H. ジュディ

企業のIT部門は、相反する強力な「力」に直面しています。彼らの最優先事項は、既存のビジネスクリティカルなシステムを動かし続けることです。たとえ、そのシステムが古く、複雑になっていてもです。新製品や新機能を届けるスピードに対してもプレッシャーが増しています。IT部門は昔からコストセンターだと思われているので、もっと効率を上げるようにと、常日頃からも(コストカットなどの)プレッシャーを受けています。

このように複数の目標が競合していると、負のスパイラルへとつながります。複雑さを軽減させ、レガシーシステムをリプレースするには、投資が必要です。ところが、そうした投資は何年もかかる巨大なプロジェクトになることが多く、コストの急上昇や経営陣の人事異動などによって、途中で中止されたり、未完成のままデプロイされてしまったりするのです。システムの複雑さの増加と効率を求めるプレッシャーが組み合わさると、IT部門の能力が低下して、計画された仕事をうまく管理できなくなります。また、変更要求の増加と不安定なITの環境が組み合わさると、計画していない仕事が激増して、IT部門の能力をさらに低下させてしまいます。

本章では、ビジネスニーズの変化に対するIT部門の応答性を高め、ITサービスの安定性を改善し、ITシステムとインフラの複雑さを軽減する戦略について説明します。ここで紹介する戦略の多くは、DevOpsムーブメントに由来しています。DevOpsの目的は、テンポが早く、重要な結果をもたらす環境において、安全に大規模に仕事ができるようにすることです。 ...

Get リーンエンタープライズ ―イノベーションを実現する創発的な組織づくり now with the O’Reilly learning platform.

O’Reilly members experience books, live events, courses curated by job role, and more from O’Reilly and nearly 200 top publishers.