9章合意に向けたコミュニケーションの「公式」

双方の当事者が勝者とならない合意に永続性はない。ジミー・カーター

すぐ前の2つの章で、ステークホルダーのフィードバックに首尾よく応答するための手法や秘訣、実用的かつ効果的な言い回しの例を紹介しました。このすべてを組み合わせれば、ステークホルダーへの応答の基準──成功を手にするための「公式」──が導き出せます。

聞き手の心をがっちり掴んで放さない、説得力のある応対をするには、それなりの「ツボ」をいくつか押さえる必要があり、私自身、UXデザインに特化した「公式」を自分なりに編み出し、これを常々活用しています。ここではそれを紹介しておきましょう。デザイナーがステークホルダーのフィードバックに応答する際に、とくに留意すべきコミュニケーション上の5つの要点をあげ、それぞれの頭文字を取って「IDEAL公式」と名づけました。

問題を特定する([I]dentify the problem)
今回のステークホルダーとの会議(S会議)で議題とする問題から、常に出席者の目が逸れないよう全力を尽くさなければなりません。そうしないと議論が好ましくない方向へ流れてしまう恐れがあるからです。会議中、出席者全員が共通の認識を持ち続けられるよう、まずはあなたの案が解決しようとしている問題そのものを簡潔に確認しておきましょう。
解決策を説明する([D]escribe your solution)
たった今確認した「問題」と、その解決策としてあなたが今回披露する案との関連を明確にする段階です。何をどうやって、その問題に対処しようとしているのか、明快に説明しましょう。わかりやすく確実な解決法でなければ、そのデザインは有用とも効果的とも言えません。 ...

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