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結論

4つの学び

 いまやわたしたちは、行動の実行を促すプロダクトをつくることができる。運動、エネルギー消費、パーソナルファイナンス、その他多くの分野で、それが成し遂げられているのを見てきた。そのためには4つのことが必要だ。

1. 心の働きを理解すること

2. プロダクトが狙うターゲットアウトカムとユーザーを明確にすること

3. プロダクトがユーザーを手助けするやり方を詳細に計画すること

4. プロダクトは決して完璧ではないこと、テストが必要であることを受け入れ、継続的に改善し続けること

 これら4つの要素は、行動変容デザインを構成する主要プロセスに、つまり本書の4つの部、理解、探索、デザイン、改善に対応している。各部の説明を通じて、あなたのビジネスや政策、非営利活動に欠かせない基礎的知識と実践的ツールを提供してきた。ここではそれらを簡単におさらいしたい。

理解:どのように心はものごとを決めているのか

 起きている間は、本を読んでいるとき、走っているとき、休憩しているときさえも、いつだってわたしたちは何かをしている。わたしたちは、意図的にしている、と思いがちだ。毎日午後7時に走ろう。なぜならば、わたしはそうしたいと思っているから。毎朝新聞に目を通そう。なぜならば、世界のニュースを知りたいと思っているから。わたしたちの意識的な心理は、何をするのか、どのように行動するのかをきちっと決めている、そうわたしたちは信じている。しかし、事実はもう少し複雑だ。

わたしたちが行動している時間の多くは自動操縦になっていて、脳の中の自動的で反射的な部分のお世話になっている。中でも習慣は鍵となる自動的行動で、キュー、ルーティン、そして、リワードによって予測できる仕方で作動する。また、人は過去の経験や時々のマインドセットに基づいて、状況に直感的に反応する。つまり、自分のある一面が、現在の状況に反応して呼び起こされている、ということだ。 ...

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