20章アウトカムに着目したコミュニケーション
次の四半期のビジネスレビューで、カレンはチームの成果を話すことができました。
「この四半期で、私たちは動画編集ソフトウェアをリリースし、新たに150の講座が公開されました。どの講座もユーザーの関心が高い領域のものです。講座の公開によって、アクイジションが15%から25%に向上しました。リテンションも60%まで上がりました。目標に向かって順調に進んでいます。この戦略的意図に対するほかのチームの取り組みとあわせれば、1年半以内に目標に到達しそうです」
シニアリーダーシップチームはその結果をとても喜んでいました。この1年で会社には多くの変化があり、そのメリットが目に見えるようになってきました。
1年前、マーケットリーはビルドトラップにはまった企業の典型でした。プロジェクト志向で、CEOが優先順位をつけたもの全部に取り組むためにチームが作られていました。組織にプロダクトマネージャーはいませんでした。チームは顧客と会話することもなく、作り終わったソフトウェアをリリースすることで報酬を得ていました。こういった特徴は徐々に薄れていき、顧客中心でアウトカム中心の考え方に変わりつつありました。マーケットリーはまだプロダクト主導組織になる旅の途中ですが、順調に進んでいました。クリスは進ちょくを見て驚いていました。
「本当に驚いたなぁ」 四半期レビューの会議のあとで彼は私に言いました。「当時何を期待していいのかわからなかったけど、今は確実に進歩しているのがわかる。以前はとても苦労していたし、まだ解決すべき問題があるのはわかってるけど、なんでこのような働き方が理にかなっているのか理解できたよ」
「本当にうまくやってくれました」と私はクリスに言いました。「多くの企業は変革しようとしてもここまでは来られないんです。でもあなたは正しい行動をしてくれました。あなたを含め、シニアリーダーシップチームはアウトカムの重要性を理解しています。結果を見るのが何を意味するのかわかっていて、組織全体の戦略に沿って進めることのメリットも理解しています。通常、多くの企業はここで行き詰まって、ビルドトラップにはまってしまうんです。彼らはアウトカムが見えるようになるのを待てなくて、リリースした機能の数で進ちょくを計測するんです」 ...
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