11章データストアフィールドガイド

データストアとはデータの保存場所です。もう少し技術的にいえば、データが保存場所として機能し得るように、データ構造を保存/修正するソフトウェアです。しかし、今日私たちがデータストアという場合、これらの目的を満たしたうえで、かつ、それなりの数のユーザー、それなりの規模のデータ、それなりの並行性を満たす何かを想定しています。つまりはデータベースのことです。

フィールドガイドとは、もともと植物や動物といった種の自然の中にある総体を明らかにしようという試みから始まったものです。部屋ではなく自然の中に飛び出し、似たような種類の植物や動物の違いを切り分けて、一連の関連づけをするのがフィールドワークです。本章の目的は、このフィールドワークさながらに多種多様なデータベースの特性を明らかにし、それぞれのデータベースを使用すべき時と場所、そして適切な設定と運用方法を提供することです。

本章では、まず各データベースの属性とカテゴリを定義することから始めます。この定義の目的は、アプリケーション開発者が書き込みや読み込みのタイプに応じて最適なデータベースを選択できるようにすることです。その後、カテゴリについてアーキテクトや運用チーム向けの考察に移ります。現在では、データベース1つ取っても組織の中で担当が分かれているのが一般的であるため、アプリケーション開発者、アーキテクト、運用チームと、対象読者を分ける構成にしました。しかし、すべての読者が設計、開発、そして運用に興味を持つことが一番です。このフィールドガイドでは、データベースの全体像を包括することは目的としていません。ネットを見まわせば、自然の中の植物や動物同様、データベースも無数に存在するので、すべてを網羅するのは無理な話です。そのかわり、ここで紹介するいくつかのサンプルとツールを通して自分の需要と目的にあったデータベースを探し出してください。 ...

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