13章実践DBRE

本書を通じて、この数年でデータベースエンジニアリングの環境がどのように変わってきたかをお伝えしてきました。サービスの開発と運用にDBREとしてどのように関わっていくか、そしてどこから一歩を踏み出すかについても、その指針をお伝えしてきました。まとめとしては、今日主流となっているストレージ、レプリケーション、データストア、そしてアーキテクチャが織り成す生態系を一通り網羅し、いくつかのサンプルを通して、視野と知識を広げられたのではないでしょうか。

リライアビリティがこれほど重視されて真に必要とされるのは、単にDBREという仕事があるからではありません。データベースはリスクとカオスという双璧がせめぎ合う場所ではないことを、現場の誰もが実感しているからです。だからこそリライアビリティへの渇望がこれほど高まってきているのです。仮想化、インフラのコード化、コンテナ、サーバーレス、そして分散システム――日々の作業で、もはや当たり前になっているこれらの技術にもリスクはもちろんあるものの、その許容される程度はデータベースと比べればずっと緩やかです。組織において、もっとも大事なリソースであるデータをこのパラダイムに組み込むことができるのも、データの守り人であるDBREにかかっています。

やらなければならないことは山積みです。その中でもデータに関していえば、多くのリスクが組織内で放置されたままになっています。だからこそ、DBREという考え方を組織に導入しなければならないのです。自分もしくはほかの誰かが、DBREを組織に取り入れようとしているのであれば、どのようにしてその輪を広げていくかが、DBREとしてのあなたの行動が指針となり職務となります。そのためには、単にDBREのビジョンや自覚を持つだけでは不十分です。そのビジョンや自覚を目に見える形にして、成功へとつなげる道を見つけなければなりません。 ...

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