4章時系列データのシミュレーション
前の章では、時系列データを探す場所と前処理の仕方を説明しました。ここでは、シミュレーションを実行して時系列データを作成する方法を見ていきます。
解説は3つのパートに分けて行います。最初に、時系列データのシミュレーションと他のタイプのデータシミュレーションを比較し、時間の経過を考慮に入れると新たに発生する考慮事項に注目します。次に、コードベースのシミュレーションをいくつか見ていきます。最後に、時系列のシミュレーションの一般的なトレンドについて論じます。
本章の大部分では、多種多様な時系列データを生成する具体的なコード例に焦点を当て、以下の3つの例を通しで見ていきます。
- 非営利団体の会員のメール開封と寄付行動の数年間にわたるシミュレーションを行う。「2.2 表データの集合から時系列データの集合を作成する」で調べたデータに関連する。
- シフト時間が様々で集客頻度が時間帯に依存する1000台のタクシー群の、1日の間の事象のシミュレーションを行う。
- ある磁性固体の、特定の温度と大きさにおける段階的な状態変化のシミュレーションを、適切な物理法則の下で行う。
上の3つのコード例は、時系列のシミュレーションの以下の3つのクラスにそれぞれ対応します。
- ヒューリスティックシミュレーション
- 我々が、世界がどう動くべきかを決め、整合性を確保し、規則を1つずつコード化する。
- 離散事象シミュレーション
- 我々の宇宙に、特定の規則で動く個々のアクターを作り、アクターを動作させて宇宙が時間とともに変化する様子を見る。
- 物理シミュレーション
- 物理法則を適用して、系の時間発展の様子を見る。
時系列のシミュレーションは、貴重な分析演習になります。具体的なモデルにも関係するので、後の章でも取り上げます。 ...
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