9章機械学習による時系列解析

本章では、時系列解析に機械学習の手法を適用する例をいくつか見ていきます。これは時系列解析の比較的新しい、有望な分野です。本章で学ぶ機械学習手法は、前方の2章で学習した統計モデルとは異なり、時系列データに特化して開発されたものではありませんが、時系列データにも役立つことが立証されています。

機械学習に視点を移すことは、本書の前方の章で予測について学んだ内容からの転換を意味します。これまでの章では、時系列予測を生成するものとして統計モデルに焦点を当ててきました。本書では、この種類のモデルを開発するために、時系列のダイナミクスと、時系列の挙動のノイズと不確実性を記述する統計学に関する、背後の理論を構築しました。続いて、過程について仮定したダイナミクスを元に、予測を行い、予測の不確実性の度合いを推定しました。この手法では、モデルの特定とパラメータの推定に当たり、データのダイナミクスを説明する最良の方法を熟慮する必要がありました。

一方、本章では、「背後にある過程」やその規則の仮定を置かない手法に視点を移します。代わりに、例えば時系列の適切な分類ラベルなど、過程の挙動を注目する結果の予測に関係するように説明するパターンの特定に注力します。また、時系列クラスタリングという形の、時系列の教師なし学習についても考察します。

予測と分類は、ツリーを使う手法と、分類の一種としてのクラスタリングを用いて取り組みます。ツリー手法の場合には、手法を使う一環として、時系列の特徴量生成が必要になります。ツリーは、例えばARIMAモデルとは異なり、「時間を意識した」手法ではないからです。

クラスタリングと距離に基づく分類では、入力として、特徴量か元の時系列を使うという選択肢があることを学びます。時系列自体を入力に使う場合には、 ...

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