11章ネットワーク自動化に取り組むための文化の構築
ネットワーク業界は、他の多くの技術領域よりも「強いプロダクト指向」を持っていると言えます。記事の見出しになるのはいつもクールで新しいハードウェアやソフトウェアであり、「画期的なITプロセスや優れたITチームのおかげで競合他社に勝利した」というような話を耳にすることはほとんどありません。
しかし新しい製品がどんなに画期的であっても、製品自体がビジネスにおける課題を解いてくれるわけではありません。例えばx86アーキテクチャーの仮想化技術はIT業界にきわめて大きな変革をもたらしましたが、10年以上が過ぎた今でも仮想マシンのプロビジョニングには数週間あるいは数ヶ月もかかっています。これは明らかに利用されているテクノロジーだけが問題の原因になっているわけではなく、おそらく我々の文化にも変化が求められています。この章は、このような問題意識について議論するために執筆しました。ネットワーク自動化を進めるにあたって、正しい文化を構築することは必須要素の1つです。この章では、正しい文化を実現するための方法を明らかにします。
一方で、文化の面だけに執着し、すべての問題の原因を文化に求めるというのはあまり正しいとは言えません。目標の達成に必要なのは、「良いメンバー」「良いプロセス」「良いテクノロジー」のバランスです。この章では文化の改善について議論しますが、全体を通じて意図しているのは「物事を適切にこなしていくこと」と「チームのメンバーが共通の心構えを持つこと」です。
本書では「エンジニアが1日にハグするべき回数」や「オフィスにトランポリンを設置してエンジニアに楽しんでもらうことの重要性」などのような事柄については触れません。本章を読んだ読者が、「文化」というものを異なる観点から捉えた上で、ある一貫したシンプルなアイデアを見いだしていただけることを期待します。そのアイデアとは「人は自分がしたことに応援や称賛してくれる人との作業を望む」というものです。 ...
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