21章アーキテクチャの図解やプレゼンテーション

新米アーキテクトがよく口にすることに、アーキテクトになったのは技術的な知識や経験があったからだというのに、アーキテクトの仕事がそれだけでなく、非常に多岐にわたっていることに驚いた、というものがある。とりわけ、アーキテクトとして成功するには、効果的なコミュニケーションが重要となる。アーキテクトがどんなに素晴らしい技術的なアイデアを持っていたとしても、マネージャーに資金を出してもらい、開発者に作ってもらえなければ、その素晴らしさは決して実現しないからだ。

アーキテクチャを図解することとプレゼンテーションすることは、アーキテクトにとって重要な2つのソフトスキルだ。それぞれをテーマにした書籍もたくさん出ているが、ここでは、それぞれについて特に注目すべきものを紹介していく。

この2つのトピックを一緒に取り上げるのは、いくつかの類似した特徴があるからだ。これらは、アーキテクチャビジョンの重要な視覚表現を、異なるメディアを使って伝えるものと言える。両者を結びつける概念は、表現の一貫性だ。

アーキテクチャを視覚的に表現する際は、アーキテクチャの異なる側面を示す必要があることが多い。たとえば、アーキテクトはアーキテクチャ全体のトポロジーを示した後、個々の部分を掘り下げて設計の詳細を説明する。アーキテクチャ全体での位置を示さずに、いきなり詳細を部分的に見せてしまうと、見る人を混乱させてしまうからだ。表現の一貫性とは、アーキテクチャの各部分の関係性を、図やプレゼンテーションの中で側面を変える前に必ず示すことをいう。

たとえば、シリコンサンドイッチのソリューションにおいて、プラグイン同士がどのように関係しているかをアーキテクトが詳細に説明したかったとする。この場合には、アーキテクトはアーキテクチャ全体のトポロジーを最初に示し、その後でプラグイン構造を掘り下げることで、それらの関係を読み手に示すことをする( ...

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