イントロダクション:カオスの誕生
カオスエンジニアリングは、ソフトウェア開発において今もなお比較的新しい分野です。このイントロダクションでは、カオスエンジニアリングのささやかな黎明期から、あらゆる主要産業が何らかの形で実務に取り入れている現在の潮流に至るまでの歴史を紐解いていきます。過去3年間のうちに、私たちの論点は「カオスエンジニアリングをやるべきか?」から「カオスエンジニアリングを始めるのにベストな方法は何か?」に変わりました。
この新たな分野の歴史は、前述の1つめの論点から2つめの論点へ私たちが移り変わってきた過程を明らかにするものです。ただ私たちは、単にいつ何が起きたかの日付や、事実に至るまでの動きについて淡々と語りたいわけではありません。お伝えしたいのは、どのような背景からカオスエンジニアリングが発生したかの物語です。なぜこのような形で出現することになったかの過程を学ぶと、カオスエンジニアリングを最大限活用する上で役に立つことでしょう。
物語は、Netflixでカオスチームが定義されて、カオスエンジニアリングを広めだした時から始まります。著者のCasey Rosenthal(https://oreil.ly/FE9EE)とNora Jones(https://oreil.ly/Rx9-1)は当時、そこで働いていました†1。Netflixはカオスエンジニアリングを実践する中で、そこにビジネス上の価値を見出します。やがてその価値が社外の人々に知られるようになると、カオスエンジニアリングの分野に関するコミュニティが成長し、テック業界に広まるに至りました。
[†1] Casey Rosenthalは、Netflixでカオスエンジニアリングチームを結成し、3年間にわたって運営に携わりました。Nora ...
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