12章情報の証券取引所
何かがなかったという報告は、いつ聞いても面白い。知ってのとおり、知られていると知られていること、つまり知っていると知っていることがあるからだ。知られていないと知られていることがあることも我々は知っている。言ってみれば、我々は知らない何かがあるということを知っている。しかし、知られていないと知られていないこと、つまり、我々が知らないと知らないこともある。
――ドナルド・ラムズフェルド
「聞きました?」
あなたは椅子を回します。「何を聞いたって?」
「私たちの素晴らしいCTOについてですよ」とベンが返します。
「ええっと、聞いてないと思う。彼女がどうかしましたか?」
ベンは目を伏せます。「あの、うわさが立ってて。でもただのうわさです」
「どんな?」
「他の企業に顧客の詳細を流出させたって」
「え?」
「そう。顧客の詳細全部。検索履歴含めて」
「そんな。信じられない」
「僕もです」 ベンが言います。
「こういうのって本当に気分が悪いんだけど」と返します。
「他のみんなも知るべきだと思います」とベンが言います。「あなたがチームに伝えるべきだと思います」
「これが本当だって、どうやってわかるんです?」
「知ってるとだけ言っておきます。信じてください」
何を言われたのか考え直します。不愉快です。もちろん、人にはこういうことが起こったと、知る権利があります。でもやっぱり、何の役に立つというのでしょうか。スタッフは同じ質問をしてくるでしょう。どこからこの情報が来たのか? いつ起こったのか? それが本当だとどうやってわかるのか? ベンを信じるべきか? でも彼はなぜこれをあなたに伝えるのか? 伝えることでベンに何の得があるのか? クラクラしてきます。葛藤と戸惑いを感じます。 ...
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