エンジニアリングマネージャーのしごと ―チームが必要とするマネージャーになる方法

16章現代の職場環境

今日、木陰に座れるのは、昔に誰かが木を植えたからである。

――ウォーレン・バフェット

CEOのサラが狼狽してイライラしながらデスクに向かって歩いてきます。

「取締役会は順調ですか？」とあなたは聞きます。

「そうね。それより、今から取締役にオフィスを見せることになったの。みんなには忙しく一生懸命に働いててもらわなきゃね。誰か画面にコードを映しておいて。あとは何人かホワイトボードの前に来て問題解決に取り組んでみせてちょうだい」

「はい？ 何の問題ですか？」タラが聞きます。

「なんだっていいの。プラットフォームの図でも描いておいて。それを指差して。それについて質問して」

「え？」

「いいからやるの！ 取締役に良い印象を持ってもらう必要があるのよ」サラが部屋の反対側に何かを見つけます。「待って、あなた何をしてるの？」

パウロがカバンに荷物をまとめています。「水曜日は学校にお迎えに行くので、少し早く帰るんです」

「今日はダメよ」とサラが言います。「自席で一生懸命働いててもらう必要があるわ。がむしゃらにね。取締役に、私たちが本当にそうしたいんだと確認してもらわなければいけないの」

「でも、そうしたら誰が私の娘を迎えに行くんですか？」パウロが聞きます。

「問題はそこじゃないのよ。今はこの問題に協力してもらう必要があるの。オフィスツアーが終わるまでは誰も帰らないで。今は何よりもこの会社が重要だって示さなきゃいけないのよ！」

あなたもチームも沈黙に陥ります。サラは取締役会に小走りに戻っていきます。

「いったい何？」と、あなたは叫びます。パウロは大急ぎで電話をしています。タラはホワイトボードにアーキテクチャーの図を描いています。あなたはみんなが自席で仕事に戻っているかどうか見渡します。 ...