エンジニアリングマネージャーのしごと ―チームが必要とするマネージャーになる方法

はじめに

あなたはここにいます。なぜでしょうか？ 考えてみてください。たぶん将来マネージャーになることに興味があるのだと思います。もしくは新しい役割に昇進して、どう始めればよいかについてのアドバイスを探しているのかもしれません。すでにしばらくマネージャーをしていて、もっと仕事をうまくやるのに役立つガイドを探しているのかもしれません。あなたがキャリアのどの段階であっても、本書はあなたのためにあります。そう、あなたです。

テック業界はスキルの危機に直面しています。これは、私たちがソフトウェアの書き方を知らないとか、インフラストラクチャーのスケール方法を知らないからではありません。こういったものは、かなりうまくできるようになっています。危機の理由は、私たちが人をどう扱えばよいかを知らないからなのです。ソフトウェアを作るのはコンピューターではなく人です。成功する人を増やしたいのです。良いマネージャーはこの問題を解決します。あなたも良いマネージャーになれるはずです。

本書では、あなたが必要としている実践的なアドバイスを提供することで、このスキル危機の解決を助けることを目指しています。中身のないビジネス論や誇張されたリーダーシップ論ではありません。軍隊の逸話や英雄的な話、安っぽい比喩、スタンフォード大学の話なども出てきません。本書では、あなたが必要とするツール、つまり仕事をこなすための実際のスキルを扱います。新しいプログラミング言語を学習するために本を読むことと同じように、世界レベルのマネージャーになる方法を学習するために本書は書かれています。

正しい道

特にテック業界におけるマネジメントの問題は、マネージャーになる人たちの多くが、生涯をかけてマネージャーになろうと計画しているわけではないことです。ソフトウェアの開発では、同じことは当てはまりません。私たちの多くは、正式な教育を受けたり、お金をもらって仕事をしたりする前から、ウェブサイトを作っていじくり回したり、プログラミングのオンラインチュートリアルをやったり、素晴らしいと思えるようなソフトウェアの概略を書いてみたりしていました。 ...